いきなり晴香が桃花の胸に手をあてた。
えっ?胸触られた。
「ちょっと小さいかもね」
そう言えば女子同士で胸を触りあってたりしてたっけ。
みんな、恐ろしがって、私の胸は触らなかったけど。
そうだ、女子に胸を触られるなんて、初体験だ。
良かった、跳ね除けなくて。
そうだ、まだこのキャンパス内では私の過去は誰にもばれてない。
なるべく怖がられないようにしないと。
「彼氏、ちょっとガッカリしたんじゃない?」
冬美の言葉に桃花は少しショックだった。
「やっぱ、ショックなのかな」
「じゃないの?基本、大きいほうが好きなんじゃないの」
そう言う冬美は確かに大きかった。
しかし他の三人は見た感じ、そうでもない。
「どうなの、貧乳三人組は?」
「貧乳って、それって、私たちのこと?」
晴香がすぐに反応した。
「私は問題ないと思うよ、桃花より大きいから」
結局、小さいものは仕方ないのだと言う結論になった。
しかし桃花は心のどこかで気になることが増えた気がした。
小さいかあ……。
そんなこと一度も気にしたことなかったな。
でも、やっぱり一番の問題はタトゥーだよ。
こればっかりは消すのが難しい。
シールくらいにしとけば良かったな。
長袖着るにしたって、夏場は限度があるよな。
紫外線対策って言い訳、ちょっと苦しいし。
やっぱ、肩を出したいじゃない。
腕の出る服を着る時は、シュシュなんかで隠すしかないよね。
夏か……。やっぱり海に誘われたりするよね。
どうしよう、隠すのも限度があるよ。
「水着はNG」って言うしかないかな。
桃花は少しだけ罪悪感を感じていた。
何だか、騙しているような後ろめたさを感じずにいられなかった。
それでもルカに会うと、幸せすぎて、この幸せを逃したくないと思った。