タイトル「森ガールと盛りあガール」 138 | 可愛い君に愛を囁きたい

その日、男装姿の若菜ちゃんを見た時、あまりにもスーツが似合ってるので、びっくりした。

 意外と、いい男じゃないの。

 まあ、女装とのギャップのせいでよく見えるだけかもしれないけど、思ったよりかなりいけてる。

「見つめないでよ、桃花。恥ずかしいじゃないの」

 若菜は体をくねらせて、両手で口を隠した。

仕草を見ると、やっぱりオカマだ。

幻滅してしまう。

若菜は両手を内股に挟んで、照れてる。

「股間を触らない」

「いやあねー、股間なんて、下品よ」

 どうも、変に男装がまとも過ぎて、ギャップを受け入れにくい。

 やっぱり女装のままの方が良かったかな。

「いい、その格好でチケット切るんだからね」

「気付くかな、私って」

「気付くでしょ、その格好のほうが子供の頃から見慣れてるんだから」

「いやだあー、なんか緊張しちゃう」

「若菜ちゃん、メイク、やっぱ落としなよ」

「ええ、嫌だ、すっぴんになるの」

「だってやっぱ、変だって」

 結局すっぴんにはなれないと最後まで若菜は拒絶した。

 桃花もリハーサルに出かけ、時間を待った。