タイトル「森ガールと盛りあガール」 114 | 可愛い君に愛を囁きたい

「私はあんたのためにキャバ嬢なんかなんないからね」

「何言ってるの」

 本当、何言ってるんだろう。

私、ルカ好みの女になろうと、キャバ嬢になろうとしてた。

馬鹿な。

そんなことできるわけないでしょ。

やっと自分らしくヘビメタしてるのに。

夜の蝶になれるわけないじゃない。

そんな価値のある男。

こんなキャバクラ狂いするような男。

「とにかく、僕は今、アケビちゃんに夢中なんだから。本気で恋してるんだ。いくら大樹にふられたからって、戻ってきても桃花の居場所なんか無いからね」

 何、今の。

 もしかして私、またフラれた?

 あんな女のせいで二度もフラれたわけ……。

畜生、またモリガールか。

憎きモリガール。

騙されたらいいんだ。

貢だけ貢いで借金つくったらいいんだ。

「どんどん不気味になっていくな」

俺らのめざすバンドって、ここまでアングラだったっけ。

桃花は憎しみを歌にこめた。

ギターを何本追っただろう。

火をつけて、投げつけただろう。

みんな、火祭りにしてやる。

魔女狩りだ。

ライブハウスは異様な雰囲気になっていた。

音楽までも迷走しだしていた。

森ガールも、盛りガールもまとめて血祭りだ。