タイトル 「天使の羽」 55 | 可愛い君に愛を囁きたい

「こいつは自殺なんかしたんじゃないのよ」



 それは反省からじゃない。


 あわよくば逃げおおせると


 思ったのかもしれない。


「自分の不注意で死に掛けてるだけよ」


 そのニュースは数日前から


 大々的にマスコミで騒がれていた。


 殺人犯の逃走。


 犯人の残虐性。


 それゆえ、一般市民を恐怖に陥れていたのだ。


「反省のかけらもない殺人鬼をなぜ助けるの」


 そんな奴をよりによって、警察は助けたのだ。