タイトル 「天使の羽」 73 | 可愛い君に愛を囁きたい

 あの晩餐で酔いつぶれる寸前に、こう言った。


「医者は患者を選べない。


 患者が何者なんか、考えていては


 いい仕事はできないわ」


 あなたがいい医者になりたかったら、


 いつだって全力で立ち向かいなさい。


 助けるのはあなたじゃないの。


 神様がその人を必要と思っていたら、


 きっと患者は助かるのよ。


 手術中、思ったの。


 神様はあの患者はまだこの世に生きて、


 しなければいけないことがあるんだってね。


 本人は生涯気付かないかもしれないけど、


 それはきっと人を殺した重みを


 考えることじゃないかって思うの。


 そうじゃないと、


 私が助けた意味がないじゃない。