タイトル 「天使の羽」 74 | 可愛い君に愛を囁きたい

 母はこの時スパイのことを知ってたのだろうか?


知らなかったのかもしれない。


 でも何かがあることは気がついてたはず。


そして、きっと今すべてを


見透かしたのかもしれない。

 だからこその茶番なのだ。

「へたすると死刑になるかもね、中国で。

 そんなへまを犯したんだから。


 じゃあ、私は何のために助けたの……」


 母は独り言をつぶやいた。


 みさきの視線に気がついて、


 しまったという顔をした。