タイトル 「さより」 最後 | 可愛い君に愛を囁きたい

 変わりすぎだ。

 成人式の後の同窓会で会ってなければ、充分に受け入れられただろう。

 あまりにも太りすぎていて、別人だ。

 クラス会の女子の中で一番太ってるじゃないか。

 

でも、変わった……。変わっていた。

「なんか、変わったね」

「そうでしょ、太ったでしょ」

「そうじゃないよ、おしゃべりになったね」

 さよりは嬉しそうに微笑んだ。

 それから二次会。

 さよりは店をやっているという。

 全部タダだからとみんなを誘った。

 ただ、僕にだけさよりは、

「ねえ、あなたは来ないで」と言った。

 どうしてと思った。

 なんか機嫌を損ねたんだろうか。

 やっぱり太ったなという顔をしたからだろうか。

 でも、それなら僕なんかより影口を叩いてる連中はいっぱいいたのに。

 トイレでみんな、ひどい悪口だ。

 聞いていられなくて早めに出てきたほどだ。

 しかし誤解を解くのも面倒臭かった。




 今度会うにしたって、いつになるか分からないし。

 少し嫌な気分はしたが、僕は一人帰路に着いた。

 なんだ、僕以外全員、行くんだ。

 なんか、仲間はずれだな。

 

 次の朝起きると火事のニュースが報道されていた。

「同窓会の二次会でプロパンガスが爆発して、みんな、死亡したようです」

 さよりだ。

 さよりがみんなに復讐したんだ。

 いつから憎み続けてたんだろう。

 へたすると中学時代から、ずっとそうだったのかもしれない。

 だとすると、さよりは最後に僕だけを許してくれたのか。