タイトル「森ガールと盛りあガール」 22 | 可愛い君に愛を囁きたい

桃花の部活動は、あまりの絵の下手さに、どうしても耐えられず、一週間もせずに退部することになった。

愛海と距離ができる気もしたが、すでに森ガールとしてのスキルは十分と、愛海との別れを決断した。

正直なことをいえば、サークルにイケメンがいなかったせいもある。

数多もいる男たち。なのにどうして私の周りにはこんなにイケメンが少ないの。

でもふと気がついた。

もしイケメンがいたとしても、イケメンは愛海を好きになるだろうって。

愛海と一緒にいると、桃花の方が引き立て役になる気がした。

ここが引き時のような気がした。

そして桃花は別のサークルを探した。

即戦力のイケメンがいて、森ガール好きが集まりそうなサークル。

「やっぱ、文系かな。アニメ研究会じゃ、オタクばかりだろうし、軽音楽部?」

いろんな部室を覗いてみた。

そして見つけたのが、スローライフ同好会だった。

部室を覗いた限りじゃ、イケメンはいなかった。

でも何も部活内恋愛の必要はないのだ。

外に狩りに行けばいい。

内面を磨くなら、森ガールっぽい部活。

部活紹介の欄を読むと、活動内容は写真を撮ったり、写生をしたり、お茶したり、手芸に、読書。

桃花が苦手とするようなものばかりのオンパレード。

いわゆるスローライフを送ろうみたいなサークル。

なんとなく森ガールっぽい部活だ。

良さそうじゃない。

きっと森ガールになるステップ2だ。

ちなみにステップ1は愛海と仲良くなるだった。

この部活なら内面まで森ガールになれそうな気がする。

出迎えてくれたのは、いかにも森ガール風の格好をした大人素敵風女子だ。

彼女を見た時直感的に思った、ここに決めたと。

「入部したいんですけど……」

そう言うと、「どうぞ、お名前、そちらに書いてね」と。

田代ゆりかはファンション誌から飛び出してきたような素敵な女性だった。

「お茶入れるわね」と、高そうな茶器を出して、紅茶を入れだした。

 高そうな器。

 リチャード・ジノリのカップだ。

 実家にいっぱいある。

 おいしい。

 なんてお上品で上流階級って感じ。

 その一杯の紅茶を飲み干すと、なんか本当の森ガールになれそうな気がした。

その日はそれで帰ることにした。