タイトル「森ガールと盛りあガール」 3 | 可愛い君に愛を囁きたい

「ガンズ最高」って、「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」をいきなり弾き語ったりしてさ。

「私もよ」

そのセリフがこぼれた時、愛の告白だって思わなかったの。

「私も好き、ヘビメタ」

その裏に、私も大樹のこと好きなんだって、気がつかなかったわけ。

それにタトゥーよ、タトゥー。

タトゥーのハートに矢が刺さってたでしょ。

大樹の射ち込んだ矢じゃないの。

気づいてないなら、鈍感すぎるでしょ。

「確かに好きって、告ったりしなかったよ。でも見せびらかしたでしょ、私のタトゥー。普通気づくでしょ」

あんなに好きだったのに。

バカ、鈍感。

私が天然みたいじゃないの。

結局全ての想いを桃花は胸にしまいこんだ。

口にしたかった言葉は、本当はまったく伝わっていなかったのだ。

こうして桃花の恋は実ることはなかった。

桃花が告白して、三日後に、

「メンバー間で恋愛するとギスギスするだろ」

そう言って、大樹は去っていった。

文化祭の前にバンドのメンバーを抜けたのだ。

さらに……。

「なんか、お前といると疲れるんだよね」

そんな捨て台詞をはいて、部活からもいなくなった。

気まずいにもほどがあるじゃないの。

結局逃げたんだ。

私と顔を合わせたくないから、逃げ出したんだ。

その時はそう思って、ほんと、落ち込んだわ。

告ったりしなきゃ良かったって、思ったわ。

でもそれはきっかけに過ぎないって分かった。

だってあれほど愛していたメタルまで、大樹は捨てたからだ。

突然、アコギに持ち替えて、フォークソングを歌い始めた。

大樹はフォークソング同好会に再入部した。

「なんでフォークなわけ」

 教室で問い詰めると、悪びれることもなく、大樹は言い放った。

「俺が目指してるのは、これなんだよね」

 そしてフォーク愛を語り始めた。