タイトル「森ガールと盛りあガール」 2 | 可愛い君に愛を囁きたい

大体、あいつが私のことをフルからいけないんだってえの。

私の何が不満なわけ。

そこらのブスより、かなりイケてるじゃない。

ああ、嫌な思い出だ。

高校時代一番の汚点だ。

桃花は高2の時一度だけ、告ったことがある。

同じクラスのバンドメンバーの黒岩大樹。

「ねえ、大樹、私たちってさ、イケてるもん同士、付き合わない?」

大樹は一言、「なんで?」と首をかしげた。

なんでって何よ。

まさか、私の気持ちに気がついてなかったわけ。

「だから……、好きだって……」

 大樹は桃花の言葉を遮り、続けた。

「お前、女に見えないんだよね。男みたいだし」

何何……、意味分からない。

自信がなきゃ、告ったりしないわよ。

「何を勘違いしてるか知んないけどさ。お前だけは有り得ないから」

大樹が思わせぶりな態度をとったからだろう。

本当はそう言いたかった。

「お前の指ってきれいだな」と手を握ったでしょ。

「ビンビンくるねえー」と私に体を寄せてきたじゃない。

「俺たちって愛称ばっちりだな」なんて言ったじゃない。

あの言葉はすべてギターのテクニックのことだったりしたわけ?

私の勘違い?

「お前の勘違いだな。俺はお前を女だって思ったことないし」

 大樹は平然と桃花の夢を断ち切った。

ずっと好きだったのに。

そうよ、大樹は気がついてないかもしんないけどさ。

入学式の日に大樹見て、ビビッときたんだから。

かっこいいって思ったんだよ。

光ってたよね。

入学式の日から、ギターを背負ってたじゃない。

軽音楽部に入学したって聞いて、すぐ入部したんだから。

そうよ、片思いだったんなら、私の行動って、かなりなストーカーじゃないの。

ヘビメタ好きって知った時のトキメキ。

運命さえ感じたのに。