夕暮れ時になると、レンガ倉庫辺りがライトアップできれいに照らされてきた。
そして、導かれるように観覧車に乗った。
ベイブリッジが見え、横浜の夜景が見渡せる。
急にルカがソワソワし始めた。
桃花もなんとなく雰囲気を察した。
観覧車が頂上にたどり着くと、肩を抱き寄せられて、初めてキスをされた。
「キスしちゃった」
ルカは笑顔でそう言った。
「桃花が可愛すぎるから、思わずキスしちゃったよ」
桃花はいつの間に観覧車から降りたのか記憶が飛んでいた。
気がつくと、桜木町駅のホームで電車を待っていた。
頭の中でキスシーンが何度も何度も浮かんでいた。
あれっきりじっと黙ったままだ。
幸せすぎて、言葉をなくしてしまった。
ずっとずっとニヤついていたに違いない。
すべてがプラン通りなのかもしれない。
かなり独りよがりで桃花の趣味を無視したプランだったが。
手馴れた感じ。
モトカノと同じコースを歩いたのかも。
それでも今日のデートに桃花は満足していた。
二人を繋ぐものが繋いだ手だけだとしても、気持ちはずっと繋がっている気がした。
その日いっぱい幸せすぎて、眠れない。
幸せの余韻はルカと別れてからもずっと続いている。
眠れない。
でも眠りたくない。
目が覚めてもそれが夢でないようにと、桃花は携帯を抱きしめて寝た。
携帯にはルカからのメールがいっぱい詰まっていた。
友達じゃない、恋人だと感じさせる愛情に溢れた文字が並んでいた。
だから明日の朝になっても夢から覚めないように、携帯メールに鍵をかけた。
これで目覚めてもきっと幸せの続きが見られるって思うから。
ねえ、そうでしょ。
私の初めての恋だから。
ずっとずっと抱きしめていたい。
目覚めるとすぐに携帯を開いた。
おはようメールが届いてる。
昨日鍵をかけたメールを読み返すと、昨日の続きの幸せが蘇った。