タイトル「森ガールと盛りあガール」 79 | 可愛い君に愛を囁きたい

そんな時、ルカが突然、切り出し。

「ねえ、最近、大樹とよく会ってるね」

そう、疾しいことがないという証しとして、ルカにはいちいち会うことを報告していた。

たまにはルカも交えて、飲んだりしてる。

桃花は二人に仲よしになってほしいと思っていた。

ルカと大樹が友達になれば、大樹と堂々と会える。

たとえどっちになびいたとしてもどっちとも、今のまま付き合いたい。

そんな気持ちがそうさせていた。

表向きはルカが大樹のファンだから接点をつくってあげているのだが、実際は疾しさを誤魔化しているだけだ。

普通に鈍感じゃなきゃ、気付くよね。

最初は一人のファンとして接していたが、近くなればなるほど、ルカと大樹の間に変な距離感がうまれていた。

ルカが人見知りのせいもあり、たまに気まずい沈黙が流れてしまう。

桃花が話をふるが、ルカと大樹同士で会話を交わすことがない。

いつも桃花が間に入って会話をつないでる。

そうなってくると、桃花もなかなかトイレに立ちにくくなってしまう。

二人きりにするのが忍びないからだ。

チューハイ飲むと、トイレが近くなるし、素面だと会話も弾まないし、変な三角形は息苦しくてしかたない。

大樹はもともと威圧感があるほうで、歌こそ、軟弱フォークソングだが、雰囲気は長淵剛のようでさえある。

ヘビメタ時代のオラオラ感が消えてないせいだろう。

モトカノの趣味に合わせつつも、始めたフォークソング。

フォークソングでCDまで出してる。

だから今さらヘビメタには戻れないだろう。

それでも完全に自分を捨てきっていない。

軟弱系のルカから見れば、大樹はヤンキーに見えるかもしれない。