タイトル 「天使の羽」 661 翔太が鈴音の方に近づいてきた。「染谷さん、 4回転跳べるんだよね」 近い、近すぎる。 顔がまともに見れない。「まだ一度成功しただけです」 鈴音はてれながら、答えた。「競争だね。 僕もそのうち4回転ジャンプを 跳べるようになってみせるから」「は、はい……」 鈴音は緊張して話せない。「じゃあ、頑張って」 鈴音の胸はキュンとした。 頑張って……。 頑張って……。 翔太が去っていく背中を見ながら、「頑張って……」が リフレインしていた。