11年が経った。
その手を緩める方法もとっくに分かっている。
年々、
その手の力が弱まっているのも分かっている。
あと数年で、
その手はついに離れるのだろうか。
その手が教えてくれた、
この息の吸い方と、
この息の吐き方で、
その杖をつくりあげた。
今日の恐怖と苦しさに、
杖は生きやすさと生きた心地を教えてくれた。
いつか、
その手が離れたとき、
未だ白昼夢は必要だろうか。
未だ杖は必要だろうか。
未だ泥梨に居るのだろうか。
怖くなる。
この手に力を込めなければ。
そこに居る理由はなんだろうか。
その手を緩める方法は知っているのに、
この手を緩める方法は知らない。
いつかこの手は離れるだろうか。