(2024.5.1)

 

 

 タイトルについての内容(抜粋要約)はつぎのとおりです。

 

⇒つぎのように報じられていました。

○厚労省、偽情報対策の報告書2700頁超を不開示 ワクチン接種促進「世論形成」目的で3年間実施(令和6年4月26日)

 新型コロナワクチンの接種が始まった2021年から3年間、厚生労働省は、接種率向上を目指してメディアや医療系インフルエンサーなどの協力を得て「世論形成」を図るプロジェクトを大手PR会社と実施した。その実施内容の報告書の公開を求めたところ、厚労省はこのほど、ほぼ全面的に不開示とする決定をした。

 NPOメディア「InFact」が情報公開請求で入手した資料を、4月22日サイト上で公開した。

 令和6年3月までに大手PR会社に支払われた契約金額は、合計すると約3億7000万円だった。

 政府は、近く閣議決定で、特措法に基づく「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」を改定し、平時から「偽・誤情報」の監視や事業者への対処を行う方針を示している。

 

⇒上記の「InFact」サイトについてはつぎのとおりです。

○新型コロナワクチン推進のための「広報プロジェクト」は透明性が確保されているのか?(令和6年4月22日)InFactサイト

 新型コロナワクチンに関しては、推進する観点で政府が広報活動に取り組んだことが明らかになっている。「新型コロナワクチン広報プロジェクト」がそれだ。

 今回は、InFactが情報公開請求等を通じて収集した、新型コロナワクチン広報プロジェクトの資料を公開する。

▽新型コロナワクチン広報プロジェクト(令和2年度)仕様書

事業の目的

 迅速・丁寧な情報発信を行い、正しい情報に基づいて、国民に安心してワクチン接種をしてもらうための世論形成を行い、定量的な国内の新型コロナワクチン接種数の増加を目指す

【事業内容】

<マスメディアを通じた効果的な広報の実施>

 テレビ、新聞、雑誌、ウェブメディア等のマスメディアに対して、コロナワクチンに関する正しい情報を発信してもらうための広報支援を行う。なお、実施するにあたっては、厚生労働省等と密なコミュニケーションを取りながら戦略的に進めること。

非科学的な情報等に対する対処>

 マスメディアへの対処

 SNS上で広く拡散されている誤情報等の対処

▽新型コロナワクチン広報プロジェクト(令和3年度4月~7月)仕様書

(上記に変更なし。)

▽新型コロナワクチン広報プロジェクト(令和3年度8月~3月)仕様書

事業の目的

 迅速・丁寧な情報発信を行い、正しい情報に基づいて、国民が接種を受けるかどうかの冷静な判断を行いうる環境を醸成するとともに、接種を受けようとする国民が安心して接種を受けられるよう世論形成を行い、定量的な国内の新型コロナワクチン接種数の増加を目指す

▽新型コロナワクチン広報プロジェクト(令和4年度)(令和5年度4月~9月)(令和5年度10月~3月)仕様書

(上記に変更なし。)

 

⇒「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改訂案について。

感染症流行初期でも緊急事態宣言 行動計画、10年ぶり抜本改定(令和6年4月16日)東京新聞

新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改定案が16日、判明した。現在の行動計画は2013年策定で、約10年ぶりに抜本改定される。

 

○新型インフルエンザ等対策政府行動計画(令和6年4月24日時点

 いわゆるフェイクニュースや真偽不明の誤った情報等(偽・誤情報)が流布したりするおそれがある。

準備期

 国民等が、可能な限り科学的根拠等に基づいて、適切に判断・行動できるよう、平時から普及啓発を含め、感染症対策等について適時に必要な情報提供・共有を行い(省略)。

 例えば、ワクチン接種や治療薬・治療法に関する科学的根拠が不確かな情報等、偽・誤情報の拡散状況等のモニタリングを行い、その状況等を踏まえつつ、その時点で得られた科学的知見等に基づく情報を繰り返し提供・共有する等、国民等が正しい情報を円滑に入手できるよう、適切に対処する。(統括庁、厚生労働省、関係省庁)

初動期、対応期

 例えば、ワクチン接種や治療薬・治療法に関する科学的根拠が不確かな情報等、偽・誤情報の拡散状況等のモニタリングを行い、その状況等を踏まえつつ、その時点で得られた科学的知見等に基づく情報を繰り返し提供・共有する等、国民等が正しい情報を円滑に入手できるよう、適切に対処する。(統括庁、厚生労働省、関係省庁)

 偏見・差別等や偽・誤情報への対策として、国はSNS等のプラットフォーム事業者が行う取組に対して必要な要請・協力等を行う。(統括庁、総務省、法務省、厚生労働省、関係省庁)

 

○政府が「誤情報」常時監視(令和6年4月26日)

 政府が感染症対策の名のもとに「偽・誤情報」のモニタリング(監視)を行う方針であることが、4月24日公表された「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改定案で明らかとなった。未知の感染症が発生したかどうかに関係なく、平時から「偽・誤情報」の監視を実施する。

 岸田内閣は6月中に閣議決定し、実施する方針だ。

 政府行動計画改定案は「準備期」「初動期」「対応期」の3つの段階に区分している。このうち「偽・誤情報」対策はリスクコミュニケーションの一環として、いずれの段階でも行うものとして位置付けられている。

「偽・誤情報」については「いわゆるフェイクニュースや真偽不明の誤った情報等」と記しているだけで、明確な定義や判断基準を示していない

 偽・誤情報問題は世界的に関心が高まる一方、対処の仕方によっては表現の自由の制約言論統制につながるリスクも指摘されている。

 

 

 最後に。

 現時点、接種後の死亡例の報告(副反応疑い報告)において、専門家が「因果関係が評価できた」事例は13件のみの状況です。

○副反応検討部会(令和6年4月15日)接種後の死亡例の報告が2193件に増加

 そのうち、

情報不足等により因果関係が評価できない(γ)」は2180件

「ワクチンとの因果関係が認められない(β)」は11件

「ワクチンとの因果関係が否定できない(α)」は2件

⇒すなわち、専門家が「評価できた場合」に「因果関係が否定できない」とされる確率は「2/13」

 

 また、健康被害救済制度についてはつぎのとおりです。

○疾病・障害認定審査会(新型コロナワクチン分)審議結果(令和6年4月25日)

 これまでの進達受理件数:10,950件

 認定件数:7,118件

 否認件数:1,575件

 現在の保留件数:36件

2,221件は受理されているものの、審議に入っていません。

⇒上記のうち、死亡一時金(葬祭料)の概要について。

 これまでの進達受理件数:1,321件

 認定件数:561件

 否認件数:182件

 現在の保留件数:2件

576件は受理されているものの、審議に入っていません。

 

 上記のような情報は、たとえ「正しい情報」であったとしても、前述の目的「接種数の増加を目指す」に合致したものとは言えないのではないでしょうか。

 

 前述のプロジェクト等により、結果として、国民が入手し得る情報が「接種数の増加を目指す」とする目的に合致した情報に偏った状況となってしまう、そのような情報提供の在り方は、国民の接種の的確な判断に資する「適切な情報提供」と言えるのでしょうか。

 

 

 以上です。

 

 

<備考>

○予防接種・ワクチン分科会(令和2年10月2日)議事録(抜粋要約)

▽予防接種室長

 接種の的確な判断に資するように、有効性・安全性等についての情報を国民に分かりやすく提供することが求められます。

 

 

⇒因果関係について。

⇒例えば、「接種の的確な判断に資するための情報として、接種後の死亡事例について因果関係を含めて、接種を受ける者に対して情報提供する」という目的の場合、「因果関係を認めるための証明の程度」とは、つぎの内容における「一点の疑義も許さない自然科学的」「通常人が疑を差しはさまない程度に真実性の確信を持ちうるもの」のいずれが、合目的的であると言えるのでしょうか。

○(平成4年12月18日)東京高等裁判所(抜粋要約)

「訴訟上の因果関係とは、一点の疑義も許さない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る、高度の蓋然性を証明することであると解される」

「具体的に発生した疾患が予防接種によるものか、他に原因があるかを的確に判定することは困難であるとしても、その理は異ならない。」

○(昭和60年3月12日)仙台地方裁判所他(抜粋要約)

「一般に訴訟上の因果関係の立証は、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、」

「その立証の程度は通常人が疑を差しはさまない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものと解されている」

「本来因果関係を認めるための証明の程度は、各制度がその存在を要件とする理由に照らして合目的的、機能的に判断されるべきものであつて(広く見れば、一般に承認されている裁判上の証明と自然科学的証明の差異もここに由来する。)、個別的な制度において因果関係についての立証の程度を緩和することはもとより可能。」

 

 

⇒厚労省の情報提供に対しても、注意は必要ではないでしょうか。

 

⇒国の情報提供における「メリット」「ベネフィット」は、「個人」が「接種の的確な判断に資する」ための「分かりやすい」ものとなっていたのでしょうか。