北軽井沢での秘めたる恋。99歳まで書き続けた作家 | キャリア・読書・人生の窓

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汝の一日、かくの如く終れば、汝の一生もまたかくの如し。
そうだ、今日考えたことを書き留めておくことにしよう。

 3月30日は女流文学最高の格調作品を残した人

野上弥生子(のがみ・やえこ)の命日。

(明治18年~昭和60年)


 野上弥生子は大分県臼杵市のフンドーキン醤油

創業家に生まれる。

14歳の時に上京し、飯田橋の明治女学校 に入学。


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 夏目漱石 門下の野上豊一郎 と結婚する。

ホトトギス 』に『縁』を掲載して作家デビュー。

以来、死去するまで現役の作家として活躍する。


 法政大学女子高等学校 名誉校長も務め、

「女性である前にまず人間であれ」の言を残す。


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 昭和初年のプロレタリア文学 が流行した時代には、

社会進歩のための活動の中にあった非人間的な

行動を追及した『真知子』を発表する。



 一方で、思想と行動について悩む青年に焦点を

あてた『若い息子』『哀しき少年』などを書く。



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 また日本が戦争へ傾斜していく時期には、時流を

批判した『黒い行列』と、良識ある知識階級の立場

からの批判的リアリズムの文学を多く生み出した。



 中条(宮本)百合子や湯浅芳子 とも交友を持ち、

『真知子』は、百合子の『伸子』を意識して書いた

作品であるといわれ、1920年代の女性の生き方を

描いた作品として日本文学に大きな位置を占めて

いる。



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 第二次世界大戦が勃発した時期にはちょうど

夫とともにヨーロッパに滞在しており、その前後の

紀行文『欧米の旅』(現在は岩波文庫全3巻)は、

この時期の激動の証言としての価値も高い。



 戦後も知識人の生き方を問う作品は多く、

戦時下には書けなかった『黒い行列』の

続編『迷路』で、敗戦までの日本の知識層の

さまざまな生き方を重層的に描く。

この作品には8年をかけた。

2.26事件から日中戦争に及んだ日本の暗部

を緻密に描いた。



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 その後は秀吉という政治的人間と芸術的人間・

利休の葛藤を描いた『秀吉と利休』を発表した。

この二人を対比させて描いたのは野上弥生子が

最初だった。





最晩年には、自らの明治女学校時代の周辺の

人々から材料をとった『森』を執筆していたが、

後数章を残し完結には至らず、それが絶筆

となった。



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 また、『迷路』が完結した後に舞台となった中国

を訪問し、延安 まで足を伸ばすなど、行動力も

旺盛であった。


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・・・・・ねえ、ねえ


    先輩は野上弥生子の作品を


    よく読んでいるって聞いたけど


    おすすめの作品ってなに?


~~ そうだなあ


    あえて言えば「海神丸」かな?


・・・・・へえ。


    以外ね。


    どんな作品?


~~ 一口で言えば、人間の犯罪の本質


    についての話だ。


・・・・・なにか恐ろしいわ。


~~ 日本最初の人肉をたべるという小説だ。


    漂流した貨物船の中、食糧がなくなり


    八蔵と五郎助が三吉の白い足に食欲を


    そそり、船長の眼を盗んで、三吉を殺して


    しまうのだ。


     人間が極限に追い込まれるとどの様な


    ことになるかを扱ったもので、最初から


    最後まで気を抜けない。


    本当に重いテーマで脳裏に焼き付く。


    自分が船長だったらどうするかを


    考えさせる。


・・・・・わあ、そう・・・・・・・・・読んでみるけど


    わたし気が弱いから


    読むあいだ、お願いだから横にいて。


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 大分の臼杵から東京に来ていた弥生子は、

明治女学校時代に一人の青年と会う。

それが一高生の野上豊一郎で、二人は同郷

だった。
 やがて東大に進んだ豊一郎から弥生子は

漱石 を紹介され、寺田寅彦 を知る。


そこで弥生子は豊一郎に嫁すとともに、漱石

の「門」をくぐることもためらわず、「ホトトギス」

にさっそく作品を書いた。


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 最初は『明暗』で、次が『縁』(えにし)という

小品である。この『明暗』が姿を変えて漱石の

最終作になった。


 弥生子は豊一郎と恋をしたのではなく、学問

と創作の伴侶に選んだと割り切っていた。

弥生子に必要なのは社会と人間の深さだった

からである。


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 弥生子の本当の恋心のほうは別ある。

その相手というのは『銀の匙』の中勘助だ。
勘助に寄せた恋情については、弥生子は永き

にわたって秘した。


 もう一人いた。

それは哲学界の大物・田辺元だった。

田辺元との恋愛関係も死ぬまで秘していた。

夫の死後での北軽井沢での秘めたる恋だった。






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(注)来歴等に関する出典はWikipedia他