タイトル 「天使の羽」 963 それでも現実は思い通りにはいかない。 あの試合で4回転ジャンプをきめて以来、 何度トライしても転んでしまう。 ジャンプを跳んでも体が重く感じられ、 翼を広げるような感覚が戻ってこない。 でも私には翼がはえている。 目には見えないけれど、 4回転ジャンプを跳ぶ瞬間には 翼は大きく羽ばたいている。 その感覚さえ身につければいい。 だって私はあの日、確かに 4回転ジャンプを跳べたんだから。 その時の感覚は体に刻み込まれているはず。 その感覚を思い出せばいいだけだ。