「最近少し練習に身が入ってないんじゃない」
翔太は鈴音が最近、
考え事ばかりしてるのが気になった。
鈴音を悩ませていたこと。
それは翔太との恋愛報道だった。
鈴音は少し考え込んだ後、突然切り出した。
「練習終わったら、飲みに付き合ってよ」
「何、相談?」
「聞いてくれる?」
「分かったよ。今日は付き合うよ」
私服に着替えて、外で待ってると、
翔太は第一声で、
「最近、その服ばかりだね」と言った。
ちゃんと見ててくれたんだと、嬉しかった。
そう、ひなたにもらったワンピースを
毎日のように着ていた。
それは初めてその服を見た翔太が、
こう言ったからだ。
「なんかその服、いつもより可愛く見える」と。
その日以来ずっとこの服を着続けていた。