ブサイクのくせに!
自分がブサイクだってことに気がついてる?
隼人のやつ、退院してから、人の顔見るたび、
「よっ!ブス」って言いやがる。
どの面さげて、そんなセリフを吐いてやがる。
あんたのほうがブ男じゃないの。
あれ以来、会えば口喧嘩だ。
それを見て、乃亜はニヤニヤしてる。
「なんか、あんたたち最近、仲良しね」
バカじゃないの。どこが仲良しよ。
「やっぱ、付き合いなよ、隼人と。お似合いよ」
お似合い?
はあ?
自分が可愛いからって……。
隼人みたいなブサイク、ふらないでくれる。
好きになったのは確かよ。
でもあれは錯覚なんだから。
バスケット以外とりえのない陰険男。
「多分、まんざらじゃないと思うんだけどな」
乃亜はニヤついてる。
「私の感、当たるのよ」
乃亜の話を聞いてると、私と隼人が同レベルに感じる。
「きっと、隼人はココロのこと、気になってると思うよ。
幼馴染だから気がつかないんだって」
ぜんぜん嬉しくない。
あんなブ男にどうして私が振り回されるわけ。
「もう少しね、きっと」
ココロは乃亜のいい加減な予想に頭にきた。
「多分、あんたたち、付き合うよ」
「何言ってんのよ、バカじゃない」
あり得ない、絶対。
「隼人って、バナナマンの日村みたいじゃん」
「確かに似てるね」
乃亜はそれでもニヤニヤしてる。
「私の方が何倍も恋の経験があるんだから,
間違いないって」
「それって私がブス専って言いたいわけ」
人に恋しろって言っておきながら、相手は隼人なのかよ。
「私は面食いなんだからね」
好き勝手なこと……。
ココロは乃亜が一人盛り上がってるのが
気に入らなかった。
私は目が覚めたんだからね。
あんなブ男、好きになるわけないでしょ。
「ねえ、だから、そろそろダイエットしようよ」
結局それが狙いか、この女。
まあ、いいわ。私がどれほど面食いか見せたげる。
モデル並みのイケメンと付き合うんだから。
「分かったわ。二人でダイエット始めよう」
「ほんとに」
乃亜はココロの手を握りしめた。
「それってスイーツ通い、止めるのね」
「そうよ、今の今からダイエットよ」
どうせ、他の相手を探すにしても、
きれいにならないといけないしね。
こうして二人のダイエット大作戦が始まった。