里親候補が、たまに病院を訪れていた。
小春は、沙希と一番、
相性の良さそうな里親に、
沙希を、委ねるつもりなのだろう。
沙希は人見知りをしないので、
すぐに、誰とでも打ち解けた。
その中でも、ひなたは山倉さんが好きだった。
品のある夫婦には、子供がなく、
沙希を本当の子供のように、
育てたいと思っていた。
品の良さを見抜く力は、
育ちの良いお嬢様のひなたには、自信があった。
本当の家族でない分、
本当の家族以上に、気を使いあうせいか、
とても仲良し家族に見えた。
山倉夫婦は、何度となく病院を訪れて、
すっかり沙希と家族のようになっていた。