小春は急に真顔になった。
そしてしばらく考え込んだ後、
爆弾を投げ込んだ。
「そういえば、染谷さん、
聞きたいことがあるんだけど?」
母の質問返しだ。
母は立場が悪くなると、
相手の弱点を突いてくることがある。
そうやってごまかす気なのだ。
でも何を聞かれるのだろう。
考えると心臓がドキドキした。
「年末のフィギュアの大会、
須藤さんを見かけたけど、
あなたたち、まだ会ってるの?」
どうして、母がそのことを……。
ていうか、見かけたって、
あの会場に来てたの?
何、何、沙希ちゃんのことが心配で
こっそり来てたの?
「あれは……、あれは、
一度会っただけで……」
みさきはシドロモドロになった。