タイトル 「天使の羽」 904 みさきは外科病棟の母の部屋をノックした。「ねえ、お母さん、話があるの」 みさきはついに、小春に問いただすことにした。 やっぱり黙ってられない。「私、聞いてしまったの」 みさきが拓海との一件を話すと、 しばらく黙ったあと、小春は口を開いた。「黙ってなさい」 小春は落ち着いている。「あなたは何も知らなくていいの」 小春の強い口調。 それは命令だ。「聞かなかったことにしなさい」「それは病院のためなの?」「そうよ。それが中塚総合病院のためなのよ」