タイトル 「天使の羽」 905「でもそれは沙希ちゃんのためにならない」「そうかしら」 小春は言葉を選ぶように、 一言一言、丁寧に喋った。「あの父親は若いわ。 あなたと同い年。 しかも生活力もない。 彼は逃げたのよ。 本気で育てる気があったら、 何を言われても病院に来たと思うわ」 確かにその通りかもしれない。 でも……。 実の親子なのだ……。 あの二人は血が繋がってることに間違いはない。