「私も恋してえー」
鈴音はリンクを思い切り蹴った。
軽く跳んだのに、
4回転ジャンプが決まった。
おおおおおおー。
きまった!
着氷の瞬間、ひなたの方へ振り返った。
「見た、見た」
興奮を抑えきれない鈴音の声だけが響いた。
鈴音がリンクを見渡すと、
すでに誰もいなくなっていた。
バカ、もう少しいてよ。
今年になって初めて跳べたのに……。
まあいいか、ひなたに彼氏ができたんだし。
私は4回転ジャンプを跳べたし。
天使が私に同情して、
翼をくれたのかもしれないし。
