翔太は沙希と話をすると、
すぐに練習のために病院をあとにした。
鈴音はひなたの仕事が終わるのを待って、
渋谷に行く約束をした。
待ってるのが暇なので、
沙希のリハビリの手伝いをした。
「ねえ、ひなた、私の背中の羽見えてる?」
ひなたは鈴音を見た。
でもひなたには鈴音の翼が見えなかった。
ううん、とひなたは首を振った。
「沙希ちゃんには私の翼が見えてるんだよね」
鈴音は沙希に聞いた。
「見えるよ、鈴ねえ」
無垢な瞳で答えられると嘘だと思えない。
「でもね、翼を感じられないんだ」
「大丈夫だよ、きれいな翼がはえてるから」
沙希が言うなら信じるしかない。
