みさきは呆れた。
みんなは小春を守銭奴と感じるかもしれない。
娘のみさきでさえ、
小春をいい人とは言いがたい。
しかし母は悪人じゃない。
善人になれないタイプなのだ。
偽善者ならもっとうまく立ち回るはずだ。
母の善意は他人には理解されにくい。
それは母がそれを格好悪いと
思ってるからかもしれない。
だからと言って、まっさらな善意でもない。
そこが誤解されやすいところだ。
でもみさきは信じていた。
母は間違いは犯さない。
悪いことは悪い、
間違いは間違いと、
自分の過ちさえ受け入れる人だと。
だからきっと説得できると
みさきは思っていた。