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「シューベルトは片思いの達人さ」

為一はそう言い放つ。

実際シューベルトはもてなかったようだ。

自信過剰の上から目線だ。

もてるやつのナルシストぶりがおかしかった。

「もてない君だから、考えたんじゃないの」

どうやったら女子とボディタッチできるかって。

それで思いついたのが連弾。

好きな相手と連弾曲を演奏し、触れ合う肌触りを秘かに楽しんでいたとしか思えない。

「いやらしい、下心丸出しじゃないの」

シューベルトさまのイメージが……。

そうだ、昔の人はいやらしいことをしなかったに違いない。

そんな思い込みがなんとなくある。

歴史に名を残す人はみんな誠実で、そう、今どきの男の子みたいにギラギラしてるわけないと思っているのに。

なんか嫌だ。

舞琴はシューベルトが嫌いになりそうだった。

シューベルトはある夏、エステルハージー伯爵家伯爵の娘の音楽教師として雇われ、この姉妹とピアノを練習するための連弾曲を作曲している。

妹のカロリーネに想いをよせていたようだが、恋は実らず、のちに、シューベルティアーゼで仲間に失恋したことを慰められたらしい。

映画「未完成交響楽」にも描かれた二人の恋愛。

伯爵令嬢と貧乏作曲家、身分を超えた恋愛。

事実を疑問視する人も多いのだが、シューベルトの連弾曲「幻想曲ヘ短調」は確かに気をつけないと手が触れ合う。

少々、映画のせいでシューベルト像が歪められているかもしれないが、逸話として語られていることだ。

そしてシューベルトはこの曲をカロリーネのために書き、カロリーネに贈っている。

だからこそ当然、この曲を選んだ意味をマリーは気がついているはずだ。

それは鉄蔵先生の精一杯の愛情表現なのだろう。

「好きと言えばいいのに、イライラする」

マリー先生がそう怒るのも分かる気がする。

そうだ、ママがはぐらかしてるだけ。


シューベルト解説


シューベルトは連弾曲が多い。


空前の連弾ブームはヨーロッパに吹き荒れた


市民階級の嵐のおかげだ。


ちょっと裕福な家はピアノを持ち、


先生を雇ってピアノを習った。


ピアニストの地位は低く、


恋心は連弾の時に触れあう肌と肌、


指と指みたいなものに


こめられたのかもしれない。


叶わぬ恋を連弾演奏で覆い隠したシューベルト。


きっと手と手が触れあうとときめいたに違いない。