タイトル 「天使の羽」 888「ごめんなさい。 どうしても止められなかったの」 小春は頭を下げた。「まるで、僕が、 沙希を傷つけてたみたいに……」 拓海は声を震わせながら、 目の前の小春に訴えかけた。「私も確信が持てなかった……」 小春は最初から、 拓海を擁護するような発言を、口にしていた。 虐待で警察に報告することにも、消極的だった。 そうだ、小春は薄々感ずいていたのだ。 母親奈菜の演技。 拓海が正義の味方で、 母親の奈菜が仮面をかぶった悪人だということを。