タイトル 「天使の羽」 887 | 可愛い君に愛を囁きたい

可愛い君に愛を囁きたい

みぃたんと忍者たなかーず


「だったら、どうして、


 あなたは途中で逃げたんですか」


「病院中が……、


 敵だった……」


 拓海は、少しずつ、


 言葉を押し出すように、囁き始めた。


「そう、あの時、みんなが、僕が犯人で……」


 拓海は過去を回想するように、天を仰いでいた。


「妻や沙希に、この僕が暴力を振るってると、


 誰もが思ってた……」


 あの拓海に対する病院の重たい雰囲気。


 そう、誰もが拓海を


 暴力を振るう悪い男と決め付けていた。


 そして今も拓海は誤解されたままだ。


「みんなの冷たい視線……」


 それで途中から、病院に来なくなったのか……。


 みさきは急に、言い知れぬ罪悪感に包まれた。