タイトル「森ガールと盛りあガール」 142 | 可愛い君に愛を囁きたい

可愛い君に愛を囁きたい

みぃたんと忍者たなかーず

 それから一週間もしないうちに愛海は驚くべき行動に走った。

 なんと大学を辞めたのだ。

「ねえ、まさか私が余計なことしたから?」

 桃花は愛海に尋ねた。

「そうね、その通りよ。桃花のせいだわ」

 ええー……、私のせいで大学を辞めちゃうわけ。

 お父さんとの再会がそんなにショックだったの。

「私、美大に進もうと思って」

「美大?」

「実は、絵を志してたの。でもね、将来性のない世界じゃない。だから普通の大学に進学したんだけど、やっぱり諦めきれないや」

 だからあんなに絵がうまいんだ。

「ママに悪いし、まあ、お父さんがあんなんだし、私まで反旗を翻したら、ママがおかしくなるかもしれないじゃない」

 確かに私だったら、グレるかもしれない。

 ヘビメタやめて、演歌を聞き出すかもしれないわ。

「でもね、お父さん見てて思ったの。生き生きしてる」

 うーん……。あれは生き生きしてるのだろうか……。

 腐った熱帯魚みたいだ。

「私も自分らしく生きたいって思ったの」

 自分らしくか……。

 私はまだ森ガールを捨てきれない。

 ルカに嫌われるのが怖いから……。

 やっぱり自分らしく生きるって難しい。

「私ってやっぱりお父さん似なんだね」

「全然似てないよ。だって若菜ちゃん、ううん、お父さん、キモイし、愛海は可愛いし、どうして二人が親子なのか、信じられないし」

「でもね、私が絵を好きなのって、多分父親に似たからだと思うよ」

「ふうーん……」

 若菜ちゃん、自分の顔をキャンバスにしてるのかな。