タイトル「森ガールと盛りあガール」 151 | 可愛い君に愛を囁きたい

可愛い君に愛を囁きたい

みぃたんと忍者たなかーず

「ああ、ハッピーエンドってつまんないね」

 愛海は桃花に言った。

 愛海は大学を辞めて暇を持て余していた。

 留学の話がどうなったのか、桃花は聴くに聞けずにいた。

 私のせいで留学話が流れたら、目も当てられない。

 唯一救いなのは愛海が笑顔を絶やさないことだった。

「今日見た映画でしょ、ありえないよね、あんな一途な男いるもんか」

 そうよ、ルカのやつ、最近、おとなしくしてると思ったら、バリバリのアイドルに夢中になっちゃって。

「この私に、今度の歌番組で会うだろ、サインもらってきてなんて」

 節操のないやつだ。

 私が出るんだから、私だけ見てればいいのに。

「小さいやきもち……」

 愛海はボソッとこぼした。

「えっ?」

「相変わらずヤキモチ妬くほど好きなんだね」

 桃花は改めて言われると、恥ずかしくなった。

「で、そのアイドルって誰?」

「誰だっけ?AKBのどれかよ」

 そんなメジャーなタレントの出る番組に出るんだ。

 そっちの方が驚いた。

「顔は知ってるんだけど、名前がねえ……」

 誰のことを言ってるのか分からなかったが、別に妬くほどのことはないような気がした。

「だってブスじゃん」

「ブスって主観的だから」

「ブッチャてさ、学生時代きっといじめられてたっぽくない」

 確かに、桃花と同級生だったら、いじめられたに違いない。

「でもあんなのがいいなんて、ブスでも好きになれるってことじゃない」

 話をよく聞いてみると、アイドルが好きなのが問題じゃないのだ。

 ブスでも好きになれるってことが気にいらないらしい。

「だからあんなゴリラみたいなヤンキー女と付き合ったりしたってことでしょ」

 ラムちゃんのことだ。

 来夢がブスでホッとしていたという自信が崩れ落ちたようだ。

 これだけ愛されて幸せと感じる相手ならいいけど、一歩間違うと重すぎ女だ。

 こんな女がストーカーになるに違いない。

「大丈夫、桃花は充分美人だから」

「美人だから心配なんじゃないの」

 ここまでいくと、ネガティブすぎではないか。

 改めてルカの心の広さを感じずにはいられない。

 ここまで繊細だから、あんな繊細な詩が書けるのかも知れない。