1960年代アメリカに実在した少年院を舞台に黒人の少年が体験した過酷な状況を描きピューリッツァー賞を受賞したコルソン・ホワイトヘッドの長編小説「ニッケル・ボーイズ」を映画化した作品です。今年のアカデミー賞で作品賞・脚色賞の候補にあがっていたのでAmazonプライムで観ました。
1960年代のフロリダ州タラハシー。真面目で成績優秀なアフリカ系アメリカ人エルウッド・カーティスは、ヒッチハイクで乗せてもらった車が盗難車だったことから、運転手の共犯として警察に逮捕され有罪に。未成年のエルウッドは更生施設「ニッケル・アカデミー」に送られ、そこでターナーという少年と出会う。そこでは黒人の少年たちに対する信じがたい虐待が横行しており、そのなかで生き抜くためにも、エルウッドはターナーと友情を育むが…
最初はエルウッドの主観で描かれ、ターナーと出会ったところでターナーと視点が入れ替わったりします。そこからもちょいちょい主観になって視点がごちゃごちゃと入れ替わり、さらに唐突に現代のショットが入りエルウッドが将来成功者になっていることが詩さされたりします。
なんでこんな奇をてらった作品なのか謎です。明らかにジム・クロウ法という人種差別的内容を含むアメリカ南部諸州の州法を描くための物語になぜこんな奇妙な演出がひつようなのか。正攻法に描くとテーマ性が重くなるせいか。
去年の「関心領域」もどうようにナチスの捕虜収容所を特殊な方法で描いていましたがアカデミー賞はこういう作品が好きそうです。
そういう意味ではこの作品は去年の「関心領域」枠であり、黒人枠でもある感じです。
とても地味で重い内容の作品です。エロとバカで社会の底辺の人間の生々しい生きざまを描く「アノーラ」とは真逆です。
Amazonプライムで気軽に観られるにもかかわらずまったく話題になっていないところをみると受賞はむずかしいかも。