パトリシア・ハイスミスの小説を「禁じられた遊び」のルネ・クレマン監督が1960年に映画化したサスペンスドラマです。アラン・ドロンの訃報を聞いて追悼して観ました。
貧しいアメリカ青年トムは、金持ちの道楽息子フィリップの父親に頼まれ、彼を連れ戻すためナポリにやってくる。金にものを言わせ女遊びに明け暮れるフィリップに怒りと嫉妬を覚えたトムは、フィリップを殺して彼に成りすまそうと計画するが…
きのう88歳でアラン・ドロンが亡くなったというニュースが。近年聞こえてくる彼のニュースはあまりいいものはなかった気がしますが、彼は昭和世代にはかなりのビッグスターであり二枚目俳優の代名詞でした。そのイメージを強く焼き付けたのがこの作品です。
貧しいイケメンが金持ちの道楽息子に成り代わって大金をせしめようという完全犯罪もので、改めて観ると金持ちはひたすら嫌なヤツで殺されても当然な感じだったり、観ているうちにどんどんトムに肩入れしてしまうことになります。
それはやっぱり屈折したイケメン、アラン・ドロンの魅力のせいにほかならず、この作品はサスペンス映画の傑作として残るはアラン・ドロンの存在ありきなのは紛れもない事実。
マット・デイモンのリメイク版の方が映画的に素晴らしいという人はほぼ存在しないと思います。
実際にはどんな人間だったのか知りませんけど、若い頃にはフランス人なのにイタリアのヴィスコンティ監督の「若者のすべて」に主演していたり、国を超えて巨匠に愛された俳優でした。
個人的にはこの作品と「アラン・ドロンのゾロ」を子供の頃にテレビで繰り返し観るくらい大好きでした。
老いてからの作品をリアルタイムで劇場で観ていますが、あまり面白かった印象もなくいつのまにかスクリーンから消えていった印象。
これでまた映画の大きな歴史が終わってしまった気がします。