鬼才中平康のスタイリッシュでサスペンスフルな監督デビュー作品だった「狙われた男」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

「狂った果実」中平康の監督デビュー作品となる1956年製作のサスペンス作品です。Amazonプライムにオススメされたので観ました。

 

白昼、銀座裏の小路アパートで起こったマダムの殺人事件。近所の人々は前科持ちの吉夫が犯人ではないかという話題で持ち切りになるが、吉夫にはマダムを殺す理由が全くなかった。そんなある日、川岸で中年男の他殺体が発見され…

 

監督デビュー作品にしてすでに独自のスタイルを持つ作品なっているのがすごいです。

脚本が新藤兼人なんで物語もしっかりしていて短いながらもちゃんとミステリードラマとして見応えあるものにしています。物語自体、フィルムノワールみたいな雰囲気がたっぷりでかなりモダンな印象。

元殺人犯の主人公が殺人事件のせいで自分の過去が近所に知れ渡り、再就職もままならない状況の追い詰められ方とか、ドラマをしっかりと盛り上げていて、陰影を活かした撮影も美しく、ちゃんとクライマックスには派手なみせばもあり、映画にメリハリをつけていて、のちの鬼才監督の片りんが出まくりな監督デビュー作品でした。