なにわのナンシー・スパンゲンを目指すツッパリ少女の青春ロックラブストーリーだった「魔女卵」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

「オン・ザ・ロード」の和泉聖治監督が大阪を舞台に、無名のロックバンドのメンバーに惚れたツッパリ少女が、バンドをメジャーにしようと奔走する姿を描く1984年製作のツッパリ青春映画です。

 

16才の三上レイは期末テストが終わって、仲間の綾と良子といつもの喫茶店「スクール」でダベっている。3人は退屈しのぎに東京からきた男たちと南港ヘドライブするが、危うく男たちにレイプされそうになるところをサブというバイクに乗った男に助けられる。その男が別れ際にくれた名刺には「バハマ」という店の名が。その店には大介の率いるバンド「プレゼンス」のヘビーメタルが轟いていた…

 

サブ役の我王銀二さん以外観たこのないキャストがコテコテの関西弁で展開するツッパリ社会からバンド界隈へ出入りする少女のお話でした。ここまで無名キャストとそんなに売れていないバンドで映画を作ったことがすごいです。

まだ日本でパンクが市民権を得ていない時代になにわのナンシー・スパンゲンになるんやというヒロインはものすごく異色で、掘れたバンドの男のためにお金を稼ごうとシンナー売ったり、ジジイに手コキしたりと頑張り姿を描かれ、その少女に好意を持ちながら温かく見守るサブの姿がなかなかいじらしくてそのもやもや感がたまりません。

サブはレイが好きだけど、レイはサブを兄貴みたいに思っていると予防線を張るのでサブはレイに手を出せず、レイが惚れている大介はサブの妹分のレイに手を出せるわけもなくどちらの恋愛も成就しない感じ。

そこに唐突に暴走族の抗争が絡んできたりしてなかんかのカオスぶりです。

映画史に全く残らない映画ですが、今見ても惚れ惚れするようなツッパリ青春映画でした。

我王銀二さんが若くして亡くなったのが残念でなりません。