「光る君へ」のついでに大映版の「源氏物語」を観てみたら、ものすごくテンポ良かった「新源氏物語」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

川口松太郎の同名小説を「ある殺し屋」の森一生監督と市川雷蔵主演で映画化した1961年の作品です。「光る君へ」が始まっているので観てみました。

 

帝の寵を一身に集めた桐壷は光源氏を生み落して間もなく亡くなる。成長した光源氏は、時の権力者左大臣の娘葵の上を正妻に迎えるも愛のない結婚を後悔する。その源氏の前に、母と瓜二つという藤壷が現れた。父帝のおもい者と知りながら源氏の心は燃え…

 

あの大長編物語を102分で描くのでものすごくテンポが良くてびっくりです。お母さんに似ている藤壺に惹かれながら帝の手前もあるし、自分も結婚しちゃっているしで悶々とする光源氏はとっかえひっかえ女性たちを見初めて、藤壺そっくりの紫を連れていって自分の理想の女に育てようとするむちゃくちゃな行動がすごいスピードで描かれます。

活劇のイメージが強い森一生監督らしい雅やかさよりスピード感重視の大変アクティブな源氏物語で退屈しません。

六条の御息所は、生霊となって葵の上を襲うくだりなど森一生監督の本領発揮という勢いあるシーンになっています。

市川雷蔵の光源氏の色男ぶりは「好色一代男」同様説得力があるし、中村玉緒や若尾文子といった大映を代表する女優陣が姫たちをアクティブに演じているのも見物です。

平成にも「源氏物語」は何度か映画化されていますが、昭和に作られたこの作品のほうがキャラクターが活き活きしていて現代っぽかったりするのが意外でした。