行定勲監督のトークショーつきで観た「GO」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

金城一紀の直木賞受賞作を「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲監督が映画化した2001年の作品です。

 

高校3年生の杉原の国籍は韓国だが普段はまったく気にしていなかった。桜井という少女とつきあうようになり、いつか自分の国籍を告白しなくてはならないと思っていたある日、同じ国籍をもつ親友に悲劇が起こり…  


行定監督のトークショーつきで観ました。

新作「リボルバー・リリー」がまだ完成していなくて、予告篇はやっと出来たところだと。

フィルム撮影は「パレード」まで。2008年以降はデジタルにした。フィルムがもったいないから。

「GO」は撮影3日で予定のフィルムを使いきった。バスケのシーンは全部ハイスピードで撮影していた。

400フィート(4分)くらいで2万円。行定監督は上映時間の5倍くらい回していた。

「春の雪」のときには岸田今日子さんにフィルムをじゃぶじゃぶ使うのねと言われた。

「北の零年」は7か月撮影でそれまで最高にフィルムを使用したと言われた「影武者」を超えたと言われた。そのあと演奏シーンの撮影で「のだめカンタービレ」が超えたと。

「GO」がなかったら「世界の中心で、愛をさけぶ」もなかった。

「GO」は日韓合作として製作がスタート。ベルリン国際映画祭のコンペにしたかったけど、「千と千尋の神かくし」と同じ年で無理だった。

アジアの監督にはだいたいこの作品のことを言われる。

原作者と監督は同い年。原作者は在日の監督には撮って欲しくないと言われた。在日の家庭にクリスマスを祝うところがないから、クライマックスはクリスマスでないとダメだと言われた。

宮藤官九郎の脚本がコミカルで原作者も困惑していた。民族意識の部分は「グッドフェローズ」を意識して、母親像なんかに反映されている。

スピード感をつけたかった。

窪塚はこれまでの作品では優等生的な感じだったので、事前の話し合いで在日じゃない監督や主演だから、この映画には精神的な越境が必要だと話したと。杉原は杉原個人としてやればいいと。そしたら髪も服も窪塚自身のスタイルで現場に来た。窪塚は彼なりのナショナリズムを考え始めて、ヤバくなっていった。

撮影中は行き過ぎないようにコンセンサスをとっていたけど、その後は知らないと。

柴咲コウは原作者がたまたま街中で彼女を見て、彼女にしたいと。キャスティングしたら原作はショートだけど、来年成人式だから髪は切りたくないと。

質疑応答

Q.今、令和に続編を作るとしたら杉原の現在は?

A.なんか社長やってそうだけど、成功していなさそう。冬ソナの流行していたときには在日の人が本名を名乗る時代があった。そんな時代を生きた逞しさが描けるのでは?

Q.校庭でこけるのは脚本なのかハプニングなのか。

A.原作者に脚本のラストにおあとがよろしいようでと書いてあったのをカットさせられたけど、そのおあとがよろしいようでの気持ちを込めてコケさせた。

「リボルバー・リリー」予告を上映。

本格的なアクションは初めて。

CGをここまで使うのは初めてなのは大正時代が日本では撮影出来ない。綾瀬はるかは体幹がよくてかっこ良く強そう。映画自体、昔の「昭和残侠伝」とか藤純子さんとかの任侠映画のかっこ良さ、アクションは押井守監督の「ゴースト・イン・ザ・シェル」とドラマは「グロリア」と日本版「最後まで行く」を参考に観た。

東映の大正時代を舞台にした作品を再現出来るけど、今観ても古くさくない大正時代を描きたいと思った。

人をたくさん殺すことの意味も考えなければいけないと。

クランクイン前に戦争が始まったのも考えさせられたと。

ほぼ完成はしていると。