高度成長期の新入社員の日常を描く市川崑監督の風刺コメディだった「満員電車」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

「日本橋」の和田夏十と市川崑の共同脚本による市川崑監督の1957年製作の社会風刺喜劇です。後に大映の看板監督となる増村保造が助監督をしています。GYAO!で観ました。

 

大学を卒業した民雄は駱駝麦酒に入社し、尼崎へ赴任する。小田原に住む市会議員の父からの手紙で母の様子がヘンだと知らされ、医大生に治療を依頼するが…

 

主演は川口浩です。自分にとっての川口浩は水曜スペシャルの川口浩探検隊の隊長のイメージで、こんなに売れっ子俳優であったことを今さら知りました。医学生が川崎敬三でこの人も自分の中では「アフタヌーンショー」の司会者の人のイメージ。

両親役が笠智衆と杉村春子という小津映画な二人でびっくり。同僚役の船越英二がムロツヨシみたいなキャラです。

タイトルは満員電車ですが、序盤にはとんでもなくすし詰めのバスが登場します。

尼崎勤務になってから満員電車が登場。通勤ラッシュ風景は「メトロポリス」みたいです。

いろいろとビリー・ワイルダー監督の「アパートの鍵貸します」っぽい会社描写だと思いましたがなんとこちらの方が古い作品でした。

高度成長期にあたる当時の社会を描く作品ですが、主人公の就職した会社はいきなりリストラを始めようとしていたり、現代的です。

当時は休みは日祝と年末年始、定年は55歳。いろいろ今とは違います。 会社に歯医者さんがいるのが凄い。主人公はストレスでどんどん病んでいき内容的には喜劇ですが、わりとブラックな展開で笑うに笑えないコメディでした。