城定秀夫監督の多作ぶりと質の高さは凄すぎる「夜、鳥たちが啼く」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

「ビリーバーズ」の城定秀夫監督は佐藤泰志の同名短編を映画化したヒューマンドラマです。

 

同棲していた恋人に去られた売れない作家・慎一のもとに、友人の元妻・裕子が幼い息子を連れて引っ越してくる。自身は離れのプレハブで寝起きする慎一は恋人と暮らしていた一軒家を母子に提供する。裕子は息子アキラが眠ると町へ繰り出し、行きずりの男たちと身体を重ね…

 

今年、「愛なのに」、「女子高生に殺されたい」、「ビリーバーズ」に続く城定秀夫監督の監督作品です。脚本作品も「猫は逃げた」、「よだかの片想い」があるので凄い仕事ぶりです。

ピンク映画出身の城定監督だけに今回はR15なので、やっぱりエロスを期待してしまいましたが、普通に興味深い男女のドラマが展開して、エロはないのかと諦めかけた後半に濃厚な絡みがやってきます。松本まりかさんはやっぱり胸は見せませんが、それなら見せないなりにエロを極めてくるのが城定監督です。並の監督なら首から上だけのHシーンでお茶を濁しますが、松本まりかさんなりのイヤらしいHを見せ切ります。

それでいて、エロに流れるわけでなく、なんか笑える場面も内包しつつほっこりと終わります。

これぞ映画という作品に魅了されっぱなしの時間でした。

追記、原作を読みました。短編で原作には主人公が作家であること、元彼女との同棲生活などは描かれていませんでした。原作のセリフそのままのところもありますが、原作を読んでも映画的なアレンジが見事だったなと思えました。