田中裕子の静かな狂気に魅了される「千夜、一夜」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。


「いつか読書する日」の青木研次のオリジナル脚本を映画化したヒューマンドラマです。

北の離島にある港町で登美子は30年前に失踪した夫を待ち続けていた。
漁師の春男は彼女に想いを寄せているが、彼女はその気持ちに応えない。そんな登美子の前に2年前に夫が失踪したという奈美が現れ…

「LOVE LIFE」「川っぺりムコリッタ」「アイ・アムまきもと」でもモチーフだった失踪した男を巡る映画だったので正直、またかと思い序盤はあまり惹かれませんでした。
しかし、中盤で韓国語をしゃべる密航者が登場したり、想定外の展開に尻上がりに夢中になりました。
なんと言っても田中裕子の演技の凄さです。
白石加代子や尾野真千子といった演技派共演者に挟まれながらも、夫を待ち続けるうち、静かに狂っていった女を淡々と演じる様がもうなんとも言えず映画です。
これはハリウッドでフランシス・マクドーマンドでリメイクしたからなんかしら映画賞を獲っちゃう作品だと思いました。
田中裕子、白石加代子、尾野真千子ら男に失踪される女たちの三者三様の姿の対比がドラマが作品を見ごたえあるものにしていました。