名作を大胆にアレンジしたミュージカル映画の傑作だった「シラノ」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。


エドモン・ロスタンの名作戯曲を「つぐない」のジョー・ライト監督が再構築して映画化したロマンチックミュージカルです。

17世紀のフランス、剣の腕前だけでなく優れた詩の才能を持つフランス軍きっての騎士シラノは自身の外見に自信が持てず想いを寄せるロクサーヌに告白出来ずにいた。そんな彼の想いを知らないロクサーヌはシラノと同じ隊のクリスチャンに惹かれ、シラノが二人の恋の仲立ちすることになり…

スティーブ・マーチン主演の「愛しのロクサーヌ」、イメージ通りのジェラール・ド・パルデュ-主演の「シラノ・ド・ベルジュラック」、物語を地で行く原作が出来るまでを描く「シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!」などいろんなバージョンのシラノを観てきましたが、これほど大胆なアレンジバージョンは初めてです。
ドパルデューみたいな鼻でかおじさんはずのシラノは小人で中身空っぽのイケメンのクリスチャンは黒人、それよりなによりもミュージカルなことにびっくり。
配役の大胆なアレンジはミュージカル仕立てにすることで違和感なく受け入れられました。
「スワロー」でもインパクトを残していたヘイリー・ベネットがロクサーヌ史上最高と思われる美しさと歌手であることを最大限に活かした歌声で冒頭から魅了され、沢山の男たちの人生を狂わせるのも納得。
また彼女の出演シーンの撮影もこの上ない美しさでした。
シラノも小人ながら滅茶苦茶強いし、しゃべればエスプリが効いているし、それゆえに自分の好きなロクサーヌの為に恋敵に協力させられたり、戦場で命の危機にさらされたり、シラノに感情移入しまくりで観ていました。
ジョー・ライト監督がこんなに手堅いミュージカルを作ったのは意外でした。