
子母沢寛の短編を原作にした犬塚稔の脚本を三隅研二監督が1962年に映画化した勝新太郎の代表作です。午前十時の映画祭で観ました。
博打の壺振りと居合抜きの達人の盲目の男、座頭市は下総飯岡の貸元助五郎の食客となる。市は肺を患う浪人平手造酒と知り合い親交を深めるが平手は飯岡の助五郎と対立する笹川一家の食客で…
後に続編、連続ドラマ、海外リメイクなど展開した傑作時代劇の第一作ですが、久しぶりに観たら非の打ち所のない傑作でうっとりしながら観てました。
後のシリーズで受け継がれる魅力がすでに一作目から詰まっていました。
勝新の座頭市というキャラクターも完成しているし、天知茂の平手造酒は彼以外にありえないほどのハマり役です。
飯岡、笹川、平手という「天保水滸伝」のキャラクターの中に座頭市が組み込まれた物語です。
親交を深めた後での対決はもう涙なしでは観られないし、こんなに感情揺さぶられる時代劇はなかなかないです。
さらに立ち回りの凄さの説得力。
昔観たときは地味だと思いましたが、こんなに丁寧にキャラクターを掘り下げて人間ドラマを描いて96分しかないのって、神業です。
とにかく観てない人は観てと言いたいし、「サマーフィルムにのって」を観た人は絶対に観るべきです。