脚本家君塚良一が「踊る大捜査線」の参考にしたという藤岡弘主演の傑作刑事アクション!「野獣狩り」 | キネマ画報

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木村大作カメラマンの撮影監督デビュー作品となる1973年公開の刑事ドラマです。「野獣死すべし」「野獣死すべし 復讐のメカニック」の須川栄三監督作品。Amazonプライムで観ました。

アメリカの飲料メーカー代理店ポップコーラ社長子母沢圭介が黒の戦線と名乗る何者かに誘拐される。その捜査にベテラン刑事舟木長太郎と上司を殴って刑事を辞めようとしていた明親子が駆り出される。黒の戦線から社長の命と交換で原液のデータをマスコミに公表しろと要求が入り、翌日にはデパートに殺害予告の垂れ幕が掲げられ、ポップコーラ本社は30万ドルの身代金が払うことで解決させたいと警察に願い出るが…

「野獣死すべし」の須川栄三監督作品でタイトルも大藪春彦原作のピカレスクロマン風ですが、内容はゴリゴリの刑事ドラマで東宝ニューアクション作品です。
父長太郎を伴淳三郎、息子明を藤岡弘が演じています。脚本家君塚良一が「踊る大捜査線」でこの作品を参考にしたと言っているら指定ですが、確かに伴淳三郎の父をいかりや長介に藤岡弘を織田裕二の役のキャラクターの原型を見た気がします。
スタンダードサイズ、手持ちカメラを多様した撮影がなかなか暑苦しくて、事件の緊迫感を煽ります。
その反面アップが多いせいでテレビドラマみたいなルックです。
昔のマスオさんの声優が俳優として出演していてその声に懐かしさが込み上げます。
藤岡弘は1971年「仮面ライダー」で大ブレイクし、この作品は代表作の「日本沈没」が公開されたのと同じ1973年公開作品。
犯人の電話で振り回される様や藤岡弘の破天荒さは「ダーティハリー」っぽさもあります。
革命を訴える犯人グループはあさま山荘事件で終焉を迎えた学生運動の成れの果てみたいな感じか。
90分ない上映時間で物語はテンポよく展開し、モンタージュもちょっとクセがあって飽きさせません。
ベテラン松山善三の原作・脚本と須川栄三監督のセンスがマッチした傑作でした。