岡本喜八監督×仲代達矢のオフビートでスタイリッシュなサスペンスコメディの怪作「殺人狂時代」 | キネマ画報

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都筑道夫の「飢えた遺産」を「肉弾」の岡本喜八監督が映画化した1967年公開のブラックコメディです。Amazonプライムにあったので観ました。

犯罪心理学の大学講師桔梗信治はある日、大日本人口調節審議会の間淵に命を貰うと言われる。しかし、間淵は信治の亡き母のブロンズ像を頭に受けてあっけなく死んでしまい…

しいて言うなら日活アクションの異色作「殺しの烙印」風なサスペンスコメディ作品ですが、どちらも1967年公開でこっちの方がちょっと早い公開でした。だから正しくは「殺しの烙印」がこの作品に似ているのかも。
元々この作品も日活で企画されていたと知り納得です。
大日本人口調節審議会は狂人を殺人者に養成している殺し屋組織で、桔梗信治はその組織に命を狙われるが偶然難を逃れ、殺し屋を返り討ちにし、警察に出頭したけど、警察と家に戻ると死体は消えていて、この事件に興味を持った女性記者と親密になるが彼女が組織に拐われ、桔梗は反撃に転じるという物語は今観るとわかりやすいです。
ただ人を食ったようなとぼけた味わいと狂人から養成された殺し屋たちの個性でいくぶんコミカルになっていて、仲代達矢演じる桔梗のおっとりしたキャラクターと犯罪心理学者としての有能さのギャップも楽しい仕上がりでした。
とはいえ公開当時は東宝の記録的大コケ作品となったとか。
しかし、1980年代に再評価され以降はカルトムービー的に愛されてきた作品です。
昔観たときは面白さがわからなかったけど、今観るとなかなか面白いのは歳のせいだろうか?