ナチズムに翻弄された男女の愛憎を描く1973年のイタリア映画です。GYAOIで観ました。
1957年、冬のウィーン。マックスは夜番のフロント係としてホテルで働いていた。彼は戦時中、ゲットーの責任者として権力を振りかざすナチスの親衛部隊だった。ある日、かつてマックスがゲットーで弄んだルチアが若手指揮者アザートンの妻としてホテルを訪れ…
ダーク・ボガードの「ベニスに死す」から3年後の作品ですが、別人みたいに顔が違います。シャーロット・ランプリングとは1969年の「地獄に墜ちた勇者ども」でも共演しています。舞台はウィーンですが、ボガードもランプリングも本当はイギリス人というのがなんかすごい。まあセリフは英語だけど。
そんなヴィスコンティ好みのキャストが主演のせいかヴィスコンティも絶賛したとウィキペディアに書いてあります。
捕虜収容所でお気に入りだった娘が指揮者の妻として彼の働くホテルに来て、指揮者がいない間に再び愛し合う。その間に当時のことを回想し甘美な思い出に燃え上がるというシンプルな物語で、バレエやオペラなど音楽やダンスのシーンが何度か長めに挿入されます。
その一つに半裸でナチスの格好をして踊るシャーロット・ランプリングの場面があります。
子どもの頃にテレビで観てなんとエロいものを観てしまったと忘れられない作品でした。
久しぶりにその場面を観て退廃的な美しさに魅了されました。
今だとナチスを官能的に描くといろんなところから叩かれそうな気がしますが、この作品はやっぱり今観てもインパクトあります。
いまだに主演作品が多いランプリングですが、当時の美しさは桁違いで完璧な造形美です。
彼女だからこそ、この作品は名作なんだと思うし、リメイクされないのも彼女ありきの作品だからかも。とか言いつつエル・ファニングあたりでリメイクしてほしい気もします。