「一周忌物語」の佐藤圭作監督が宮地真緒と小沢真珠主演で江戸川乱歩の短編小説を映画化した2006年公開の官能サスペンスです。
スランプに陥った人気作家今野の担当編集者になった真理は新作を書いてもらうために彼女の元へ。その家にある黒革の椅子に惹かれるようになった真理は椅子の中に誰かいるのではと思いはじめ…
1997年にも水谷俊之監督が清水美沙主演で映画化していて、この作品は2度目となる映画化作品です。
舞台が現代になっていて、物語も原作を大いにアレンジしています。
それが低予算であるが故にそうなっているとしか思えないクオリティで肝となる椅子の造形が酷すぎます。2010年の「失恋殺人」という乱歩の「妻に失恋した男」を映画化した作品に主演して脱いでいますが、この作品ではノーエロスです。
作家役の小沢真珠も下着姿どまりでこれのどこがエロチック乱歩なのかと制作者に問いただしたいレベルです。
それに比べてNHKの満島ひかり版の「人間椅子」のなんと面白かったことか。
30分の短編ドラマながら満足感はるかに上でした。
この作品で唯一オッとなったのはテレビを見る場面でダイヤル式の古いテレビが正面からとりきりになり、家の液晶テレビがダイヤル式のレトロなテレビになったような錯覚に陥るところでした。