江戸川乱歩の小説を三島由紀夫が戯曲化したものを「嵐を呼ぶ男」の井上梅次監督が映画化した1962年の作品です。
女賊黒蜥蜴は宝石商岩瀬の令嬢早苗を誘拐する。早苗は護衛していた明智小五郎の部下により取り返され、明智はその場にいた緑川夫人が黒蜥蜴だと見破り…
京マチ子という大女優を主演にしながら悪い冗談みたいなミュージカルになっている井上梅次監督版の「黒蜥蜴」です。7年後に深作欣二監督、丸山明宏主演で三島由紀夫まで出演してすぐリメイクされたことからも、この作品はいかにこれじゃない感があったことが伝わります。
京マチ子のそばに今も活躍する小人俳優マメ山田さんが出演していてびっくりでした。
内容的には乱歩的な要素はあるものの空気感が圧倒的に井上梅次感で乱歩が描く妖しい魅力とはまるで違うカラッとした陽性なミュージカルになっていました。子供向けの少年探偵団的な乱歩作品になっています。
あの巨匠新藤兼人が脚色しているとしりまたびっくりです。
今、すごく深作版が観直したい気分です。