一番の衝撃は大月ウルフが弟で本名だったこと「フジコ・ヘミングの時間」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。


ピアニストのフジコ・ヘミングの軌跡からプライベートまで密着した初のドキュメンタリーです。

日本人ピアニストの母と若きロシア系スウェーデン人デザイナーの父を両親としてベルリンに生まれたフジコ・ヘミング。
父と別れて東京で母に育てられた彼女は5歳からピアノをはじめ東京芸術大学を経て30歳でドイツ留学。
その後、ヨーロッパに在住し世界的音楽院から支持を獲ていたがリサイタル直前に風邪をこじらせ聴力を失い…

初めてのドキュメンタリーといいながら彼女が有名になったきっかけがテレビの深夜ドキュメンタリーだったと知り、そりゃそうだと思いましたが彼女の多忙な日常を追いかけ、丁寧に撮影されている労作でした。
何より彼女の人間性はよくわかる内容で彼女のルーツや数奇な運命もさりげなく入れたところにセンスを感じます。
普通なら戦時中の差別や失聴をもっと深掘りしたりするけど、さらりと触れるのがすごいです。そこが現在の彼女の飄々としたところにも通じる気がします。
それでもそういう空気を弟大月ウルフがぶち壊すのが好きです。
フジコ・ヘミングより自分たちの世代には大月ウルフの方が馴染み深いから。
個人的には「大鉄人17」のブレイン党ハスラー教授役だった大月ウルフは忘れられません。
そんな彼が今も元気にやんちゃな姿を見れたのが嬉しかったり、ウルフが本名なことにびっくりな映画でした。