「孤狼の血」の原作者インタビューで「県警対組織暴力」の影響を強く受けていると語っていたのでAmazonプライムビデオで観てみました。
「仁義なき戦い」のスタッフとキャストで作った1975年公開の警察が主人公の映画です。
昭和38年、西日本の倉島市では大原組と川手組の抗争が激化していた。
部長刑事の久能は大原組にべったりで若衆頭の広谷とは盟友だった。
二人が川手組の土地買収をつぶすと川手組と繋がりのある県上層部は大原組潰しに動き出す。
倉島署に派遣された海田警部補はヤクザとの付き合いを認めず久能は大原組のガサ入れから外され面目を潰され…
菅原文太演じるヤクザにべったりな刑事久能は「孤狼の血」で役所広司演じる大上のベースになったキャラといえます。
松方弘樹演じる大原組の広谷は「孤狼の血」で江口洋介演じる尾谷組の一之瀬です。
「孤狼の血」は現代人にわかりやすくした「県警対組織暴力」なんだというのがこの映画を観れば一目瞭然です。
この作品が生まれた背景は「仁義なき戦い」をやり過ぎて広島でヤクザ映画が作れなくなり今度はヤクザを取り締まる警察の映画だと企画されたもので原作はなく脚本の笠原和夫が「仁義なき戦い」の取材の中で聞いて「仁義なき戦い」使ってなかった実話などから構成されているそうです。
「孤狼の血」の原作者が強く印象に残るという菅原文太と山城新伍が川谷拓三を締め上げる取り調べシーンのめちゃくちゃさは爆笑ものです。
なんで取り調べで全裸になってしまうのか?
そのエスカレートぶりは「孤狼の血」の真珠のシーンに並ぶインパクトです。
その直後にボロボロにされたヤクザが警察のトイレでHしたりすごいアメとムチです。
そんなわけで2作の大きな違いはこっちはグロはないけどエロはあるというところ。若いイケメンはいないというところ。大上と松坂桃李演じる日岡の関係は「トレーニングデイ」だそうです。
でもヤクザの抗争とヤクザにべったりなことでヤクザをコントロールしようする刑事とその刑事がかつて関わったある事件がカギになったりするのは同じです。
「孤狼の血」の宣伝では「仁義なき戦い」がメジャーだから引き合いに出されますが実質はこの作品の近過去版でした。
「孤狼の血」が気に入った人は必見です。