
「イエローキッド」、「NINIFUNI」の真利子哲也監督の初商業映画作品です。
「イエローキッド」はなんか雑誌でべた褒めされていたから舞台あいさつまで観て、「NINIFUNI」はももクロが出演していたので観ました。
どちらも好き嫌いは別にして印象に残る作品でした。
松山市の小さな港町で親もなく造船所のプレハブで暮らす兄弟泰良と将太。
泰良はふらりと港町から消え、市街地に行って喧嘩に明け暮れていた。
その泰良の暴れっぷりを楽しそうだと思った高校生の裕也は泰良を捕まったら負けのゲームだと誘って二人で暴れまわる。といっても裕也は商店街で女性に暴力をふるい動画を撮影するようなショボさ。裕也を止めようとする男性は泰良に任せて逃げるひどさ。
二人はキャバ嬢を送る車を奪い市外でゲームの続きをしようとするが、その車にはキャバ嬢の那奈が乗っていた…
泰良が柳楽優弥で将太が村上虹郎、裕也が菅田将暉でキャバ嬢が小松菜奈、キャバのボーイが池松壮亮、兄弟の親代わりがでんでん。なかなかいいキャスティングです。
内容的には「イエローキッド」と同様両親のいない青年が暴力衝動をおさえられなくなって無軌道に暴れるだけの話で、両方出演しているでんでんの役回りも似ています。
泰良はケンカするのが好きなだけの男で勝てば満足。しかし、裕也は男とケンカする度胸もなくて、女や老人相手にしかケンカしないクソ野郎でまあ胸くそ悪い人物です。
この映画は一見無秩序な暴力を描くようで泰良にはちゃんと秩序があったりするから泰良と裕也の行く末には大きな差が生まれてきます。
キャバ嬢那奈が裕也にひどい目にあわされるのは万引きしまくってたりすることや中国人キャバ嬢にひどいことすることの罰にも見えます。
そう思うとわりと教訓話っぽく見えたりもします。
ちなみに小松菜奈が菅田将暉に左πを鷲掴みにされて揉まれたり、手○ンされたりするシーンがこの映画の唯一のエロい見せ場です。元仮面ライダーがこんなにクソ野郎なのはちょっと意外。小松菜奈は「ヒーローマニア生活」に続いて暴力的な面も見せます。
「ヒーローマニア」ついでに言うと「ヒーローマニア」浜松を舞台にした暴力映画で、おっさんの金槌が袖から出てくる仕掛けが「タクシードライバー」だったし、この映画で最後に再登場する泰良の格好も「タクシードライバー」でした。地方×暴力×タクシードライバー×小松菜奈が共通する映画が同時期に公開されるとかなんかあるだろうか。
個人的には暴力シーンもいいけど、エロいシーンがみたいです。若い監督の映画にはエロいシーンが少なすぎます。暴力とエロはセットですから。
池松壮亮の役は珍しく小さい役でいなくても物語が成立するレベル。池松ファンには物足りないかも。でもこのあとに観た「海よりも、まだ深く」ではけっこう目立つ役でした。
泰良役の柳楽優弥は楽しそうでなにより。ほとんどセリフがなくて、本能のまま暴れる彼の姿は歩き方までゴリラみたいになっていました。最近の彼が出てのいる映画はだいたい好きかも。
関係ないけど、柳楽優弥で「キーチ!」を映画化して欲しかった。この映画の柳楽はキーチそのものだから。
追記。「ゆとりですがなにか」で柳楽優弥とでんでんが絡んで「おっぱいいかがっすか」とかいう絡みにあまりの落差に耳キーンでした。